素材からカルチャーとストーリーを感じてほしい 京都で作る巾着バッグ

巾着バッグ”mine-kinchaku(ミネキンチャク)“を作るのは、ブランド『mine(マイン)』のクリエイター高峰賀奈子さん。2021年からアトリエを京都に移し、素材にこだわったアクセサリーや巾着バッグなどを作られています。
mineのアイテムは、遊び心と品の良さ、使いやすさを兼ね備えたデザインが魅力です。高峰さんが作品をどのように生み出しているのか、お話をうかがいました。

布が好きだから巾着を選んだ

mine人気商品のシュリンク巾着

mineの人気商品である『シュリンク巾着』は、高峰さんオリジナル発想のくしゅっと布を寄せたハンドル部分が特徴的。ゴムが内臓されていてヘアアクセサリーのシュシュのようになっています。
「握るように持っても手首を通して持っても、どんな持ち方でもかわいいデザインです。ギリギリですが、肩掛けも。」

引っ掛け、肩掛けなど持ち方はさまざま

シンプルな装いに映えそうな、質感豊かな生地が特徴のミネキンチャクですが、生地選びには次のようなこだわりがあるそうです。
「デッドストック品などの珍しい生地を使うことが多いです。見たことないような、他にはない、ちょっと違う、というテイストの生地を探します。私が作ることの価値を、生地選びの段階から模索しています」

また、ミネキンチャクの魅力は内布にも。
「ビンテージライクなスカーフを使用したり、内布にも心を掴むような素材やカラーを意識しています。見えないところにも遊び心は忘れたくありません」

シュリンク内側、内側にこだわり

オシャレが好きで、陽気で前向きな人に届けたい

ミネキンチャクは布素材や装飾の組み合わせも秀逸です。
「自由に作りたいと思っています。使うパーツや生地などは、誰も絶対にしないような組み合わせをしてみたいし、普通なら使わないような素材も使ってみたい、私が作ったアイテムを使う人だって男性か女性か決めたくない。年代もファッションも国籍も、何にもとらわれないというのが、私のテーマなんです。」

また、ミネキンチャクにはリピーターのお客様が多いのが特徴です。柄違いやサイズ違い、プレゼントに、と一度にいくつもご購入されるお客様もいらっしゃいます。
「難しそうな柄の組み合わせのお洋服を素敵に着こなしているような方に、ミネキンチャクの柄合わせを気に入っていただくと、とても嬉しくなります。オシャレな方、人生を楽しんでる方、良いモノを見る目をお持ちの方に気に入ってもらえるようなデザインを目指しています」

シュリンクつまみ

京都でつくることにもっと意味を持たせたい

今、高峰さんは「オリジナリティの追求が今後の課題だ」と感じていているそうです。
「ブランドとして継続的に興味を持ってもらうには、私が作るモノが魅力的であり続けなくてはいけません。そのためには、作品の背景から見えたり感じたりするストーリーやカルチャーがとても重要だと考えています」

2021年春、10年間過ごした東京を後にして、高峰さんは生まれ育った京都へ居とアトリエを移しました。
「アクセサリー製作の勉強のために東京へ出ましたが、いつかは地元の京都でモノづくりをしたいと思っていました。京都の伝統産業を私のスタイルに落とし込んでいくことをしたかったんです。」

高峰さんは、反物の引き染めを家業とするご家庭で育ちました。そのため、日本の伝統工芸や職人技術を継承していくことに少しでも関わりたい、という思いがあるそうです。
「テキスタイルが好きなのは、実家の影響だと思います。実家の工場にある端布は、今でも私のインスピレーションを刺激します。」
そういえば、ミネキンチャクは和装をする方にも好評をいただいています。どこかクラシカルで、和も洋も感じる作風は、高峰さんが京都の伝統産業に囲まれて育ったからなのかもしれません。

西陣織、着物残反

SIROKUでは、京都へ拠点を移した高峰さんからの提案で2タイプのオリジナル巾着バッグを作りました。
京都の伝統的なテキスタイル『西陣織』を使用したシュリンク巾着と、スラッシュキルトの技法で高峰さんが自ら生地を加工して作ったものです。

 スラッシュ途中、途中2、スラッシュ状態

スラッシュキルトとは、何枚も重ねた生地に平行にステッチを入れていき、ステッチの行間に切り込みを入れることで、切れ込みから重ねた布地を見え隠れさせる技法です。高峰さんは、ステッチの入れ方を調整したり、洗いのかけ方を調整したりするなど、納得の表情を作り出すまでさまざまな試行錯誤を繰り返されたそうです。
「重ねる生地の色の配分にもとても心を配ります。こういう部分にも、私がこれまで見てきた景色や経験が投影されるような気がするんです。だから、私が見てきた美しいものをmineのモノづくりで再現したい、と思いながら作っています。」

清水シュリンク

京都の持つ歴史文化や時間は、高峰さんの創作に良い影響しかないとおっしゃいます。
「10年間いた東京と違って、京都は時間の流れがのんびりしているんです。だからでしょうか、手間をかけることも面倒じゃない。むしろ手間をかけることの価値を、以前より大切に感じるようになりました。

それに、mine-kinchakuを持つ人が、ストーリーやカルチャーを感じるような生地や製法で作りたいんです。それがmine-kinchakuを持つ人の満足感や、巾着への愛着につながるのだと思うから。だから、いい素材を使って、手間をかけて、本当にいいモノを作りたい。京都には、それができる環境があると思っています。」

SIROKUでは、mine-kinchakuの魅力が詰まったオリジナル巾着バッグをはじめ、さまざまな巾着バッグを販売しています。高峰さんこだわりのテキスタイルが生み出す温かみある作品たちをお楽しみください。

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